tobidasi

世間一般でいう【バリアフリー】ではバリア(障壁)が取り除けない、ちょっと特殊な事情を抱えたご家庭、実は少なくないと思います。
知的障害、発達障害、認知症…身体は活発に動くのだけれど
一般的な常識から見ると「問題行動」と呼ばれる状態が起こりやすい子どもや人。
問題を抱えて、家族は疲労困憊。
でも、一番困っていて、一般常識や一般的な構造に障壁を感じているのはご本人。
少しでも本人が楽に、ひいては家族も楽に暮らせる工夫ができれば、したいですよね。
我が家には、18歳(投稿当時の年齢)の重度知的障害者(兼自閉症)が暮らしています。
私が18年前に産んで、18年間一緒に育ってきた長男です。(当時)
彼との生活は、毎日がスリリング。予想外、想定外のことばかり。

小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、みなさんそれなりの安全対策をされていると思います。
ベビーゲートや感電防止コンセントカバー、などなど…。
もちろん、その類もやってきました。
ベビーの間は、トイザらスや赤ちゃん本舗で売ってるグッズで間に合います。
しかし、2歳になっても3歳になっても危険を理解するどころか、体力は付く、知恵は付く。
だけれども常識は通じない。ますます危険に晒される日々。
ベビーゲートはまたいで越えるし、クッション性のある安全グッズは全て歯がためのごとく噛みちゃんこ。
目を離すと、というか、右見て左見るともう私の視野から消えていない。
どんだけ素早いんだろうか…。
家の中にも危険がいっぱい。
ましてや、家の外に出たら…。
目の届かないところにひとりでいることは、即命に係わることでしたから、本当に片ときも目が離せない。
24時間休まらない。
彼ら、睡眠も不安定なことが多いですから…。
今、こうして書きながら、朦朧としていた日々が蘇ってきましたよ。

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さて、住まいの対策。
田端家の場合、まずは「家の鍵」を一番に考えました。
外に出るには、ここ。
片手でくるっとひねると開くサムターン錠は、子どもにも簡単に開けることができます。
ドアチェーンもしかり。
内側からは、いとも簡単に開けて出て行ってしまいます。
夕飯の支度をしていたら、いない!!
トイレに入って出てきたら、いない!!
何度か110番して警察のお世話にもなりました。
玄関ドアの施錠。
息子に開けられないようにしないと。
幼児期は賃貸のハイツに住んでいたので、鍵を勝手に触ることができず、アラームを付けました。

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こういうの。
ドアが開くと大音量のブザーが鳴ってすぐに気づきます。
その瞬間なら、見失うことなく追いかけられます。手軽です。
ホームセンターなどで購入できます。1000円以下で買えます。ネットでも売ってますね。
まずは、これかな。
音に興味の強いお子さんだと、鳴らして遊びになってしまうこともあるので要注意ですが…。

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息子が小学生になって、自宅を新築した際には玄関ドアの鍵をこういうのにしました。
YKK APでは【脱着サムターン】と呼びます。
【お出かけサムターン】と呼ぶメーカーもあります。
サムターン回しという手口を防ぐ目的で開発された防犯機能ですが、役に立ちます。
家にいるときにも、サムターン(回して鍵を開け閉めするところ)を抜いておけるのです。
これが付いていないと、鍵を開けることができません。
多動全盛期には、脱着サムターンに紐をつけて、ずっと首にかけていました。
隠して吊っていても、すぐに見つけて差し込んで開けてしまわれましたので…。
首に提げるのはいいアイデアでした。
出ていきたいときに、私のところに来て鍵をよこせとひっぱるようになりました。
 母「お出かけしたいん?」 子『にたっ』
 母「行く?」 子「(い)くっ!」
コミュニケーションが生まれました。
発語のなかった彼が、ことばを獲得していく場面でもありました。
鍵は、一次的には閉じ込めるためのものかもしれません。命を守るためには、必要でした。
でも、ずっとそれでは悲しいです。
黙っていなくなると困るけれど、「どこか行きたい」と要求ができ、それに応えてあげることができれば、閉じ込めておく必要はありません。このやりとりを数年繰り返すうちに、脱着サムターンの役目はなくなりました。
伝えたら、出かけられる。それがわかると、家の鍵と車の鍵がついたキーホルダーを私に手渡すことで「お出かけ」アピールをするようになりました。今では、それすら面倒なようで、玄関を指さして私に「行っこー!」って言ってきます。
玄関ドアから自由に出られなくなった当初は、ほかの出口から手あたり次第出ていきました。
勝手口。(ここにも脱着サムターン付けてましたので、首から二つぶら下げることに…)
掃き出しサッシ。(その先の門扉を両側錠にしました。)
ブロック塀の上に猫除けの剣山みたいなの敷きました。
全部、裏をかかれると言うか…乗り越えていきましたけど、彼は…。
まぁ、そうこうしてるうちに交渉する術を覚えたので今も元気に生きています。

と、今日は玄関ドアに【脱着サムターン】という機能が付けられますよー。
というのがメインのお話でした。長くなってすみません。

実は、他にもたくさん方法があります。
鍵だけでも、【電子錠】【ダイヤル錠】【両面シリンダー】【リモコン錠】などなど。
後付けできるものもありますよ。
でも、ダイヤルと両面シリンダーはお勧めしません。
ダイヤル、あっという間に親より素早く開けられるようになるのが目に見えてますから。
パズル、数字には強い子多いです。
両面シリンダーも、ずっとそれ使うの不便です。
彼らは成長しますから。不要になる日も見越しておいた方が絶対いいです。

ではでは、第1回目はこの辺で。次は何をお伝えしようかな。