戸建て住宅のメンテナンス費用っていくらかかるの?
今回は「戸建て住宅のメンテナンス費用っていくらかかるの?」です。
30年間にかかるメンテナンス費用の実態 |
家を建てて、その家に何年住めるのか 考えてみたことはありますか?
35年の住宅ローンが組めるのだから、当然それ以上は長く住める。
当たり前にそう考えている方が多いと思います。
住宅メーカーや工務店さんが最近は「長期優良住宅」を標準仕様と謳っているところも増えています。
長持ちする家ということなのでしょうが、実際のところは…?
メンテナンス費用をたくさんかけて長持ちさせる。
何もせず、長持ちするわけではないのです。
考えてみれば当たり前のこと。
ですが、家を建てたときに、自分の家にこれからかかるメンテナンス費用について把握している人が少ない。
いや、ほとんどいらっしゃらないのが実態です。
ということで、戸建て住宅のメンテナンス費用はいくらかかるのか?を具体的に説明したいと思います。
住宅の仕様は建てる会社や商品によって様々ではありますが、ここに掲載されているものが「一般的」といっていいかと思います。
YouTubeでは2年目、5年目と横軸に説明していますが、ここでは4つの項目に分けて説明をしていきます。
屋根 |
25年で葺き替え検討?
それに関しては、もう少し持つと思います…。
10年目に「部分補修」10~15万円
屋根しっくいとか、でしょうね。
カラーベストなどのスレート屋根の場合でも、10年目にメンテナンスが必要です。
※「カラーベスト」は商品名なのですが、スレート屋根の総称的にも使用されることが多いのでここでは総じてカラーベストと記載します。
20年目、同様に10~15万円の部分補修。
30年目には、葺き替え100~150万円。
実際に施工するときに必要な足場費用が含まれていないので、メンテナンスのたびに+20~50万円は必要です。
屋根のメンテナンスを怠ると雨漏りに繋がります。
そうなると、構造躯体がダメージを受けて家の寿命が縮まってしまいます。
屋根だけで、ざっと180~330万円。
雨樋を含むとさらに30~40万円かかります。
外壁 |
外壁はどうでしょうか?
外装材にサイディングを使用した場合を想定しています。
サイディングは、色・柄・表情が様々で好みのものが選べます。施工性もよいので施工側にとっても都合のよい商品。
窯業系サイディングの主材料はセメント。防水性はありません。
塗膜とジョイント部分を埋める目地コーキングに防水を頼っているのが実態です。
メンテナンスプログラムの表を見てみましょう。
10年目に外装材(サイディング)の部分補修20~30万円。
20年目も同様に部分補修20~30万円。
30年目には張り替え200~300万円。
目地コーキングの方にも費用がかかります。
5年目に部分補修3~5万円。
10年目にも部分補修3~5万円。
15年目に打ち替え30~40万円。
その後も5年ごとに部分補修、15年ごとに打ち替え。
これ、その都度足場が必要になってくる工事です。
屋根のところで書いたとおり、足場の費用は20~50万円。
5年ごとに!?
表に記載された金額を計算してみました。
「外壁」にかかる費用、312~460万円。
+足場代、120~300万。(5年ごとです)
ここで、費用以外のことにも触れておきます。
外装材(サイディング)を再塗装した場合、当初のきれいな模様は再現できません。
単色で上塗りすることになってしまって、がっかりということがおこります。
ベランダ・床 |
10年目に部分補修2~5万円。
これは、トップコートのことだと思います。
20年目には防水再施工25~35万円。
30年目に部分補修2~5万円。
屋根や外壁と同様に、メンテナンスを怠ると雨水が侵入して構造を傷めてしまいます。
雨漏りで気づくとまだいいのですが…知らず知らずのうちに耐久性がなくなってしまっているのが一番怖いことです。
ベランダ、いりますか?
メンテナンス費用を考えると、やめておこうという方も多いです。
知っていてつけるのと、知らないでつけてしまったのとでは意味が違いますね。
構造躯体 |
シロアリ消毒をして、構造を長持ちさせましょうということのようです。
5年ごとのシロアリ消毒15~20万円。 延々と…5年おき。
一昔前までは10年おきでよかったのですが、シックハウスがらみで法規制がされ 今は弱い薬になったために5年で揮発して効果がなくなってしまいます。
それでも、揮発性の殺虫剤を床下に定期的に撒くとは…。
人はもちろん、ペットにも害がないわけではありません。
無添加住宅ではそのようなシロアリ消毒は行いません。
かわりに、半永久的に効果が持続して、ほ乳動物には害がないホウ酸系のシロアリ対策を推奨しています。
話が反れました。
揮発性の薬剤の場合、30年で90万~150万円。
愛知県のメンテナンスプログラムの注釈に気になるひとことが。
「構造躯体」 ※建て替え時に更新。ただし、床組みは20年で全面取り替え時期を検討。
え?5年ごとに防蟻しても床は20年で取り替えるの?
フローリングの寿命…でしょうか
。 そうですね、ちょうど接着剤の寿命がそんなものですから、張り替えのタイミングなのでしょう。
他にもいろいろ… |
消耗品と呼ばれる部材については記載がありません。
水栓やガスコンロ、給湯器などの寿命にはそれぞれ設計耐用年数があります。
数年~10年程度で交換の時期がやってきます。
他に、新建材と呼ばれる内装材を使用していると、それらの寿命も15年~20年程度。
合板フローリングやシート貼りの建具など、ずっと使えると思っていても
張り合わせてある接着剤の寿命がくると剥がれてしまったりブヨブヨになってしまったり。
リフォームするしかない状態になります。
30年間の修繕費 |
さて、30年間の修繕費 合計で約875万円(仮設足場費用は含まず)
しかも、30年目の修繕費が約520万円(仮設足場費用含まず)
長期優良住宅の認定を受けると税制上の優遇があったりするのでお得に感じる方がいらっしゃるかもしれません。
これだけの費用をかけてプログラム通りにメンテナンスしないといけないので、それぐらいは補助してあげましょうということなのですが…いいところだけ、見ていませんか?
そして、
所轄行政庁からメンテナンスなどに関する報告を求められた際、報告しなかったり、
虚偽の報告をした場合には30万円以下の罰金に処せられることがあります。
知っていましたか?
いや、これを伝えずに勧めている会社があるとしたら、怖いことです。
そして、長期優良住宅の認定を受けずに建てる場合でも、同様の一般的な住宅を建てる場合には長く持たせるためにはこれだけの費用がかかることに変わりありません。
それでなければ、20年程度で建て替えることになってしまいます。
最初に書いた35年以上住めると思って建てていますよね、という話とかけ離れた実態。
メンテナンス工事、リフォーム工事、建て替え工事で業者は潤います。
何もせず長持ちする家をつくってしまっては儲からないのです。
そして、住宅にかかる固定資産税も年々下がるのですが、早い段階で建て替えてくれるとまた高い税金を課すことができます。
国も業界も、20年~25年で建て替えを本心では推奨しているのかもしれません。